
金子宗平がロード独走V、中井唯晶はクリテリウム制しクリテリウムリーダーに|JBCF石川

せいちゃん
- 2025年06月09日
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福島県石川町を舞台に、6月7日(土)に「JBCF 第4回 石川クリテリウム」、翌8日(日)には「JBCF 第22回 石川ロードレース」が開催された。石川クリテリウムのJクリテリウムツアー決勝では、度重なるアクシデントに見舞われながらも中井唯晶(シマノレーシング)が冷静な走りで勝利し、リーダージャージを獲得。石川ロードレースのJプロツアーでは、金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)が最終周回で圧巻の独走劇を演じ、栄冠を手にした。
波乱の石川クリテリウム、中井唯晶がリーダージャージ獲得
4回目を迎えた石川クリテリウムは、石川町の市街地に設定された1周1.8kmの周回コースで行われた。今年は従来のコースレイアウトから逆回りとなり、スタート・フィニッシュ地点もモトガッコ前から石川小学校前に変更。川沿いを巡る平坦基調ながら、クイックなコーナーが連続するテクニカルなコース設定が、レースにスリリングな展開をもたらした。
Jクリテリウムツアー決勝:二度の赤旗、サバイバルレースを中井が制す
午後1時にスタートしたJクリテリウムツアー決勝(当初25周・45km)は、序盤から波乱の展開となった。スタートから4周目に入った直後、集団内で約15台が絡む大規模な落車が発生。レースは即座にニュートラル(一時中断)となり、負傷した矢萩悠也(チームブリヂストンサイクリング)、吉田晴登(ベロリアン松山)、大河内将泰(シエルブルー鹿屋)の3選手がリタイアを余儀なくされた。前回大会優勝者の岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)もこのアクシデントに巻き込まれたが、スペアバイクに乗り換えてレースに復帰した。
約20分の中断を経て、レースは残り21周で再スタート。しかし、残り周回が実質7周を切った後のコーナーで再び集団前方で4名の選手が落車するアクシデントが発生。この事故で、地元福島出身の風間翔眞(シマノレーシング)と河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)がリタイア。レースは再び中断。負傷選手の救急搬送も行われ、コースクリアに時間を要した。交通規制の時間制限も迫る中、大会審判団はレースを残り5周に短縮して再開することを決定した。
緊迫した雰囲気の中、残り5周の超短期決戦がスタート。シマノレーシングが数的有利を活かし集団をコントロールする中、最終局面は集団スプリントへ。ゴール前の直線、鋭い加速を見せた中井唯晶(シマノレーシング)が、宇都宮クリテリウムの覇者である孫崎大樹(ヴィクトワール広島)の猛追を僅差で振り切り、激動のレースを制した。3位には山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)が入った。
中井はレース後、「2度の中断がありましたが、チームメイトが積極的にアタックし、僕と石原(悠希)が力を貯めることができました。最後はしっかり優勝できて良かったです」とチーム一丸での勝利を喜んだ。この結果、中井唯晶はJクリテリウムツアーのポイントランキングでトップに浮上し、グリーンリーダージャージを獲得した。
U19/U17特別戦:住田悠人が圧巻の走り
併催されたU19/U17特別戦(弱虫ペダルプレゼンツ Jユースツアー第15戦)では、U19リーダージャージを着用する住田悠人(AVENTURA VICTORIA RACING)が、他を寄せ付けない圧倒的な強さで優勝を飾った。
金子宗平、石川ロードで圧巻の13km独走V
翌8日の石川ロードレースは、石川町および浅川町にまたがる1周13.6kmのアップダウンが激しい、ジェットコースターのようなタフな周回コースが舞台となった。緑豊かな自然の中、選手たちは厳しい起伏に挑んだ。
Jプロツアー:金子宗平、最終周回で他を圧倒
メインレースのJプロツアー(10周・136km)は、序盤からアタックと吸収が繰り返される目まぐるしい展開。レース中盤までは決定的な逃げが決まらず、集団の人数が徐々に絞られていくサバイバルな様相を呈した。
勝負が大きく動いたのは、残り2周。金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)と、学生ながら積極的な走りを見せる森田叶夢(京都産業大学)の2名がメイン集団からアタック。ツアー・オブ・ジャパンを日本ナショナルチームとして戦った2人は、息の合ったローテーションで後続との差を広げ、一時は30秒以上のリードを築いた。
そして迎えた最終周回、登り区間で金子が森田を振り切り単独となると、ここから金子の独壇場。タ持ち前の独走力を遺憾なく発揮し、後続の追撃を一切許さない力強い走りで約13kmを逃げ切った。2位には、終盤に集団から抜け出し粘りを見せた阿見寺俊哉(アヴニールサイクリング山梨)が、3位には集団スプリントを制した岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が入った。金子に食らいつき、レースを盛り上げた森田叶夢は敢闘賞を受賞した。
金子はレース後、「全日本選手権前なので、前哨戦として良い結果が出せてよかったです。チームとして明確なミーティングはしていませんでしたが、林原(聖真)選手や他の選手が逃げに乗るなど、皆が臨機応変に動いてくれた結果、チームとして総合的に勝てたと思います」と、個の力とチームの連携を勝因に挙げた。
Jフェミニンツアー:阿部花梨が盤石の今季8勝目
Jフェミニンツアー(5周・68km)では、今シーズン圧倒的な強さを見せている阿部花梨(イナーメ信濃山形)が、最終周回で山下歩希(弱虫ペダルサイクリングチーム)との一騎打ちに持ち込み、これを制して今季8勝目を飾った。3位には武田和佳奈(Promotion x Athletes CYCLING)が入った。阿部はこの勝利でフェミニンリーダージャージを堅守した。阿部は「序盤は暑くてきつかったですが、最後まで集中して人数を減らし、勝負どころでしっかり勝負できて良かったです」とレースを振り返った。
E1/E2クラス:大前翔がスプリントを制す
E1/E2クラス(7周・95.2km)は、序盤から横塚浩平(VC福岡)らが積極的に動く展開。中盤には石井克(MOAT RACING LAB)が横塚に合流し2名で逃げる場面もあったが、最終的には大集団でのスプリント勝負へ。これを大前翔(Roppongi Express)が制し、2位に長島慧明(AX Cycling Team)、3位に奥田和人(VC福岡)が入った。大前翔はこの勝利と、同日開催された綾川ロードレースの結果を受け、エリートリーダージャージ獲得を確定させた。
U19 ジュニアチャンピオンシップ:新藤大翔が栄冠
U19ジュニアチャンピオンシップ(6周・81.6km)では、レース中盤から新藤大翔(エカーズ)と関口煌大(群馬県立渋川高等学校)の2名が抜け出し、そのままのマッチレースとなった。ゴールスプリントで新藤が関口を下し、ジュニアチャンピオンの栄冠を手にした。3位には山田駿太郎(弱虫ペダルサイクリングチーム)が入った。U19リーダージャージは前日のクリテリウムに続き、住田悠人(AVENTURA VICTORIA RACING)がキープした。
石川サイクルフェスティバルも盛況
両日ともに「石川サイクルフェスティバル」が同時開催され、会場ではランニングバイクのエキシビションレースや、地元の特産品・グルメを販売するブースが多数出展。多くの観客や家族連れで賑わいを見せた。梅雨入り前の好天にも恵まれ、選手たちの力走に沿道からは大きな声援が送られた。歴史と伝統ある石川でのサイクルロードレースは、今年も数々のドラマと興奮を生み出し、盛況のうちに幕を閉じた。
リザルト
石川クリテリウム
Jクリテリウムツアー 決勝
1位 中井唯晶(シマノレーシング) 1h25m21s
2位 孫崎大樹(ヴィクトワール広島)
3位 山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)
4位 石原悠希(シマノレーシング)
5位 永井健太(ヴィクトワール広島)
6位 岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)
7位 渡邉和貴(シマノレーシング)
8位 山田拓海(シマノレーシング) +02s
9位 久保田悠介(ヴィクトワール広島)
10位 高橋翔(ベルマーレレーシングチーム) +03s
U19/U17
1位 住田悠人(AVENTURA VICTORIA RACING) 39m27s
2位 山崎多真(MiNERVA-asahi)
3位 谷平拓哉(神奈川県立保土ケ谷高等学校)
4位 佐野凌麻(岐阜第一高等学校)
5位 小林柊友(岐阜第一高等学校)
6位 西澤崇介(神奈川県立保土ケ谷高等学校) +01s
7位 大石哲平(静岡北高等学校)
8位 蘇禹安(ボンシャンスACA、台湾)
9位 山田駿太郎(弱虫ペダルサイクリングチーム) +04s
10位 中島真治(LINKVISION GIRASOLE CYCLING) +08s
石川ロードレース
Jプロツアー
1位 金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム) 3h19m02s
2位 阿見寺俊哉(アヴニールサイクリング山梨) +16s
3位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +17s
4位 山田拓海(シマノレーシング) +18s
5位 孫崎大樹(ヴィクトワール広島)
6位 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ、スペイン) +19s
7位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン、コロンビア)
8位 佐藤光(チームサイクラーズ・スネル)
9位 風間翔眞(シマノレーシング)
10位 織田聖(マトリックスパワータグ)
Jフェミニンツアー
1位 阿部花梨(イナーメ信濃山形) 2h05m59s
2位 山下歩希(弱虫ペダルサイクリングチーム)
3位 武田和佳奈(Promotion x Athletes CYCLING) +3m14s
4位 竹内清子(VELONUTS RACING TEAM) +3m28s
5位 岡本彩那(ブラウ・ブリッツェン) +4m29s
6位 林優希(なるしまフレンド) +4m37s
7位 黒川真理子(AutoBahnGotemba) +5m14s
8位 滝川陽希(ツール・ド・のと400) +5m15s
9位 福山舞(湾岸サイクリング・ユナイテッド) +5m17s
10位 安藤沙弥(Team SHIDO) +6m36s
E1/E2(Jエリートツアー)
1位 大前翔(Roppongi Express) 2h26m25s
2位 長島慧明(AX Cycling Team)
3位 奥田和人(VC福岡) +02s
4位 森凰翔(LEVANTE HOPE)
5位 岡奏誠(イナーメ信濃山形)
6位 宇佐美颯基(MOAT RACING LAB)
7位 増子雄士(Astama Cycling Team) +03s
8位 布田直也(MiNERVA-asahi)
9位 小林毅瑠(MiNERVA-asahi) +04s
10位 生天目隼人(SBC Vertex Racing Team)
U19
1位 新藤大翔(エカーズ) 2h07m39s
2位 関口煌大(群馬県立渋川高等学校)
3位 山田駿太郎(弱虫ペダルサイクリングチーム) +26s
4位 川野鷹(神奈川県立保土ケ谷高等学校) +30s
5位 住田悠人(AVENTURA VICTORIA RACING) +33s
6位 沢野司(エカーズ) +34s
7位 大石哲平(静岡北高等学校)
8位 大藤優作(Team 一匹狼) +36s
9位 眞鍋肇太(神奈川県立保土ケ谷高等学校)
10位 山崎多真(MiNERVA-asahi)
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている